「オオコワ」と鳴くカラス
5_カラスの血縁
人間社会では「カラスなぜ鳴くの……かわいい七つの子が……」という歌があるそうだが、
断っておく、
カラスは七羽の子を育てるほど甲斐性はない。
儂も三羽烏兄弟の末っ子で、
というと兄、弟の区別があると勘違いされるが、
そもそも、
我々カラスは卵なので、
卵が産み落とされた順か、
卵から孵った順か、
どちらで兄、弟を決めるのかという、細かい取り決めはない。
ただ、儂が生まれた時、
すでに二羽が儂の目の前にいたので、
儂は末っ子だと自覚しているだけだ。
で問題は、
最初のうちは親が餌を運んでくれていたが、
一週間もすると勝手に餌を探せという厳しい仕打ちを受けた。
たった一週間でだ。
かわいそうに、
兄の一羽は二週間目で死んだ。
栄養失調だった。
もう一羽の兄は、
三週間目に、
もっとたらふく食える場所を探すと言って出て行った。
それっきり会っていない。
もっとも、
カラスはみんな似ているし、
嗅覚のすこぶる鈍い我々は、
互いの体臭で身内を判別する力はない。
だから、
どこかで出会っていても兄だと気がつかない。
アホカラスとか、
儂のように特別な鳴声だけが個性の発揮方法だと、
思ってもらってよい。
だから前にも行ったが、
カラスの鳴声を「カーカー」などという、
簡単な表現で済ませてほしくない。
カの後に、小さくァの音を入れて
「カァーカァー」
と鳴く奴や、カの音がクになる
「クァークァー」
と鳴く奴もいる。つまり、百カラスいれば百通りの鳴き方があるのだ。
そう言えば、儂の縄張りにいる10羽のカラスの関係も、 実はよくわかっていない。 血のつながりがあるのかないのか、 誰も知らない。 人間のように記録があるわけでもなく、 記憶が長く続くものでもないから、 二代、三代前となると、 親戚だったのかどうか全く見当もつかない。
まあ、これだけ顔、形が似ているのだから 「カラスみな兄弟」 と思っている奴がほとんどだ。
この機会に、儂の縄張りの十羽を紹介をしておこう。 もうお気づきだと思うが、「儂の縄張り」と言っているが、 儂がボスではない。
外から「流れカラス」がやってきたら、 十羽が協力して追っ払う程度で、 そんなに強い絆があるわけではない。
嫁さんが欲しくなったら、別のグループから奪ってくることもあるし、 逆にとられることもある。 餌をあさる場所を守る同士といった感じかな。
では紹介する。イメージ図を見てくれ。

長老カラス(オス)
老カラスA(オス)
老カラスB(メス)
儂、オオコワカラス(オス)
中年カラス(メス)
若カラスA(オス)
若カラスB(オス)
若カラスC(メス)
若カラスD(メス)
アホカラス(オス)以上である。
すべて儂がつけた呼び名で、 正式に名前を持っているのは、もちろん儂だけ。 普段はカラス語で「オイ」とか「コラ」とか呼んでいる。 人間のように、 三人称を話題にしゃべることは全くないからこれで済む。
くま邦彦:作文家 / 2024/12/17 改稿