「オオコワ」と鳴くカラス
縦断歩道
いよいよ儂の出番がやってきた。
四種目目は縦断歩道。
我がチームはアホカラスと長老と儂が出る。
ルールは、
スーパー西にある歩道、
五十メートルを六羽で競争し、
順位の合計が少ないチームが勝ちとなる。
途中で飛び上がったりすれば失格で10が加算される。
一番混みあう十時にスタートする。
儂はスタートの合図ができないので、
漁師町のボスに頼んだ。
スタートラインに並んだ時点で、
すでに6羽のカラスは目立つ。
特に子供の好奇心は怖い。
5メートル先で五歳くらいの男の子が、
こちらを指さして母親に何か告げている。
母親はちらっとこちらを見たが、
あわてて子供の手を引っ張って、
スーパーの中へ入って行った。
その時、
前からやってきたスケボーがアホカラスを轢きそうになった。
慌ててよけたアホカラスが、
左にいた漁師町カラスのニ羽とぶつかり、
二羽は驚いて飛び上がった。
もし、
スタートの合図がかかっていたら二羽は失格である。
歩道の幅は三メートルしかない。
人間は前方からも後方からも歩いてくる。
先ほどのように、
スケボーや自転車も走って来る。
かなり危険なコースである。
レースの様子は、
儂の実況中継でお伝えすることにしよう。
「出場選手がスタートラインに並びました。
左から、儂オォコワ、
漁師町A、
長老、
漁師町B、
アホカラス、
漁師町Cです。
『ガー』
という鳴き声を合図に各羽一斉にスタートしました。
漁師町BとCがアホカラスを挟む形で前に出たため、
いきなりアホカラス出遅れです。
頭脳的な作戦が功を奏しました。
やはり予想通り、
漁師町Aが先頭を行きます。
続いて儂オォコワが二番手、
三番手は漁師町B、
四番手は長老。
漁師町Cは長老の左にぴったりとつけています。
一カラス身離れてアホカラスです。
トップが十メートルを過ぎたところで、
前方からママチャリが近づいてきました。
あっ危ない。
漁師町Bがママチャリと衝突し、
弾き飛ばされました。
三回転して最下位に転落です。
さらに近づいてきたやくざ風の男に、
漁師町Cが蹴とばされました。
幸い、
横に転がりガードレールとぶつかったため、
すぐにレースに戻りました。
二十メートルを過ぎたところで、
トップは漁師町A、
続いて儂、
三番手は長老、
四番手はアホカラス、
五番手は漁師町C、
最後は漁師町Bです。
大きく回転してBは最下位です。
前方から犬を連れた女性がやってきます。
悪い予感がします。
長老もそれに気づき歩道の端に寄りました。
トップを走っていた漁師町Aに、
犬が飛びかかりました。
前足で頭を一撃。
漁師町Aは前方に二回転しました。
ここで長老がスパートをかけます。
一気にトップに躍り出ました。
続いてアホカラス、
儂、
起き上がった漁師町A、
漁師町C、
漁師町Bと続きます。
残り十メートルのところで、
女の子を乗せたベビーカーがやってきました。
このとき突風が吹き、
女の子の帽子が舞い上がりました。
本能でしょうか、
アホカラスがその帽子を取ろうと飛び上がりました。
アホカラス失格です。
これを合図に長老、
漁師町の三羽がラストスパートをかけました。
油断した儂を追い越して次々にゴールです。
一着、長老。
二着、漁師町A。
三着、漁師町C。
四着、漁師町B。
五着、儂。
失格、アホカラス。
我がチームの大敗です。
儂は実況中継のため、
後ろ向きで走っていたのが大失敗でした。
くま邦彦:作文家 / 2024/12/17 改稿