「オオコワ」と鳴くカラス
カラスリンピック
ルールを説明する。
今回は十五羽対十五羽の戦いなので五種目を決めなければならない。
この場合、
儂らの連合カラスから三種目、
漁師町カラスから三種目の案を出す。
選挙で、
一種目を落とし、
残りの五種目で戦う。
最後は得点が倍となるカラスオケ大会で決着をつける。
三日後、
種目を決めて駅前で会うことにした。
長老のねぐらに帰ると、
みんなは山カラス達と一緒に宴会をしていやがる。
人(いやカラス)に大事な仕事を押しつけておいて、
のんきな奴らだ。
山カラス達は、
この辺りでは手に入りにくくなった甘柿とぶどうを持ってきていた。
儂は甘柿を突きながら、
カラスリンビックの種目をどうするか相談を始めた。
若カラス達は、
どこから仕入れたのかドッグフードをかじっている。
種目にはあまり興味はなさそうだ。
ここも長老にたよるしかないか。
三日後、
駅前といったが全カラスが集まったものだから、
急きょホームの屋根に変更した。
三十羽のカラスが南北に二列に並び、
その中央に儂と相手のボスが立った。
カラスは文字は持たないので、
書いて発表というわけにはいかない。
儂とボスが交互に種目名を言う。
いいと思ったら「カー」と一羽一回だけ鳴く。
この数が一番少ない種目が落ちることになる。
三十羽が一斉に鳴くのだが数えられるのかというと、
本当のことを言うと、
儂は自信がない。
相手にまかそう。
まずそちらから発表をどうぞと促した。
「ブラックパス」
「カー、カー、カー・・・」
儂の推測では七羽が鳴いた。
次はこちらの番だ
「ハンガー・ゲーム」
「カー、カー、カー・・」
「パトホッホ」
「カー、カー、カー・・・」
いかん、
相手には知恵カラスがいるようだ。
さすが、奴らの縄張りには、
かつて芭蕉や虚子が寝泊まりしたことがあるという。
あなどれない。
「縦断歩道」
「カー、カー」
やばい、二羽だ。
「ガラスふき」
「-」
えっ、零羽。
まさか令和にちなんで。
「糞(ふん)でかためろ」
「カー」
なんとか儂らの出した種目は三つとも残った。
それにしても、
自分達で出した「ガラスふき」に、
だれも一票を入れないなんて、
考えられない連中だ。
では明日から一種目ずつ勝負することとなり、
出場メンバーは当日発表することで別れた。
くま邦彦:作文家 / 2024/12/17 改稿