自分史という小説
まえがき
小学生時代、読書感想文というと必ず伝記を読まされた。
今でも覚えているのは「シュバイツァー」と「豊田佐吉」で、
立派な行いを自分も見習いたいと書いたものだった。
最近の子供が読書感想文のために伝記を読んだという話は聞いたことがない。
著名人なら誰かがその一生を伝記として書くような時代ではなくなってきたのかもしれない。
著名人でもそうなら、私のようなただの人を他人が書き残すことは絶対にない。
そう考える人間が増えてきたのか、
図書館へ行くと「自分史の書き方」といった本が、
結構並んでいるのに気がつく。
時々送ってくる「年金のしおり」にも、
自費出版で自分史を書きませんかという広告が載っている。
わざわざ自費出版しても、
他人の人生を金を出してまで知りたいという物好きはいないため、
結局、知人に無償配布して終わるのが落ちだ。
それなら、自分史を題材に小説にすれば、
うまくいけば小説賞の応募もでき、
書籍化にこぎつけられるかもしれないという
「捕らぬ狸の皮算用」で、
この小説を書き始めることになった。
くま邦彦:作文家 / 2025/1/7 初稿