自分史という小説
11_雨量

 小学6年の時のことである。理科の授業で雨量を測ろうという実習があった。 みんなそれぞれ好きな容器を用意し、雨の中一定の時間外に出しておいて、 その後理科室で測るのである。
 当時は校門を入って左手に築山があり、白いペンキの百葉箱が設置されていた。 皆はその周りのあちこちに、弁当箱のふたや牛乳びんなどを置いた。 私も、確か弁当箱のふたを置いたと思う。
 先生の指示で、理科室にそれぞれの容器を運ぶと、 教室には大型のメスシリンダーが用意されていた。 先生はその中に、それぞれの雨水を入れて測るように言った。
 皆はそれぞれの雨水を測り、雨量は○ミリリットルと記録を始めた。 この時、私は疑問に思った。これだと、大きな容器をつかった者の雨量は大きく、 小さな容器の者は雨量は小さくなる。それが雨量なのか?
 この疑問が解決したのは、中学2年で気象の学習をした時だった。
 雨量の単位はミリリットルではなく、ミリメートルだった。 そして、雨量はメスシリンダーで測るのではなく、容器の深さを物差しで測るのだった。 さらに、容器は皿や茶碗のようなものではなく、 口から底までが同じ面積の筒状でないといけないことがわかった。
 小学校の授業ではいろいろな容器で測っても、 同じ場所では雨量は同じであることを確かめる観測だったのを、 先生は間違って教えたのだ。

 これは私の思い込みの間違い。 地理で流域面積という言葉が出てくるが、川の規模を表す言葉である。 長さは源流から河口までの長さだと分かるが、流域面積を私はずっと川の表面積の合計だと思っていた。
 今思えば、川の表面積をどのように測量するのかとか、年間で水量が変化したら、表面積は変わるとか、 いろんな問題が起こってくるはずだった。
 流域面積は、その川に雨が流れ込む範囲を流域といい、その面積だとわかって納得がいった。 山の頂き、分水嶺の内側なら地図で測ることができる。
 雨量を雨の量、流域を川の流れる領域と字で判断した間違いである。専門用語はそれぞれ定義があり、 それを正しく知っていないとこのような間違いを犯す。
くま邦彦:作文家 / 2025/1/21 初稿
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