抄本
天獄
 20**年4月、私は家族に見守られ90歳で息を引き取った。
 次の瞬間、2人の男に両腕を捕まえられ透明な壁に押し付けられた。 壁の向こうには軍服のようなカーキー色の制服を着た男女の一団が、 整列して通り過ぎていくのが見える。 いきなり首筋のあたりに金属板のようなものが当てられ、 カシャッとシャッターを切るような音がして軽い痛みが走った。 そして、今度は壁に背中がつくように向きを変えられ、 右腕に腕時計のような金属の輪がはめられた。
 赤いランプが点滅している。 先ほどの2人の男がまた両腕を持ち、私を次の部屋へと移動させた。
 その時だか、 チラッと見えたのは、 電話ボックスのような透明な箱から、 一人の女性が、 私と同じように両腕を持たれて引っ張り出され、 壁に押し付けられている。
「ここは一体どこだ。私は死んだのではないのか」
……
2024/12/22 大(まか)公開
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